「ミケの水飲み奮闘記」 第一話完結編
ある日の午後、ぽかぽかとした陽射しが窓から差し込み、家の中は穏やかな空気に包まれていた。
子猫のミケは、お腹が空いてゴロゴロと甘えた声を出しながら台所のほうへ向かった。
「ミャー、ミャー、水が飲みたいにゃあ…」
ミケは前足で水道の蛇口をちょいちょいと触り、顔を上げて水が出るのを待っていた。
飼い主のアキが、ちょうどその時キッチンに入ってきて、ミケの要求に気づく。
「ミケちゃん、水飲みたいの?ちょっと待っててね。」
アキは蛇口をひねり、水を出してくれた。
ミケは喜んで口を近づけたが、勢いよく出てくる水が顔に当たってしまい、びっくりして後ろへ跳ねた。
「ニャーッ!?な、なんにゃこれ!?冷たいにゃ!顔に当たるにゃ!」
ミケは少し後ずさりして、再び慎重に水に近づこうとした。
今度はもう少し控えめに舌を伸ばしてみる。
しかし、またもや水が顔にかかってしまい、ミケは困惑した表情でアキを見上げた。
「ミャオーン…アキ、どうにかしてほしいにゃ…」
アキは笑いをこらえながら、蛇口の水の勢いを弱めた。
「ごめんね、ミケちゃん。これでどうかな?」
今度は水がちょろちょろと出るだけで、ミケはまた前足で水を確認し、顔を近づけて舌をぺろりと出した。
しかし、ほんの少し飲んだだけで再び顔に水がかかり、ミケは「ニャッ!」と
短い鳴き声を上げて飛びのいた。
「なんにゃこれ!?顔がびしょびしょにゃ!」
ミケは不満げに前足で顔を拭いながら、ふてくされたように座り込んだ。
アキはその様子を見て、もう一度水の調整を試みる。
「ミケちゃん、今度こそ上手く飲めるはずだよ。」
ミケは警戒しつつも、再び水に近づいた。
顔を低くして、できるだけ水がかからないように慎重に舌を伸ばす。
やっとの思いで一口飲むことができたが、すぐにまた顔に水がかかってしまった。
「もういやにゃ!この水、私をいじめてるにゃ!」
ミケはその場を離れて、台所の隅でふてくされてしまった。
アキはそんなミケを見て、少し申し訳なさそうにしたが、面白さも感じていた。
「ミケちゃん、そんなに怒らないで。もう少し工夫してみようね。」
アキは今度は小さなボウルに水を汲んでミケの前に置いた。
ミケは疑い深そうにボウルを見つめ、前足で水をちょんちょんと触って確かめる。
「ミャー、これは安全かにゃ?」
ミケは慎重に顔を近づけ、ぺろりと一口水を飲んでみた。
冷たい水が喉を潤し、ミケは満足そうに目を細めた。
「これなら安心にゃ!アキ、ありがとうにゃ!」
ミケはその後、ボウルの水を飲むことに決め、蛇口から水を飲むことは二度と試みなかった。
しかし、アキが蛇口をひねる音を聞くたびに、
ミケはちょっとした警戒心を抱き、台所を離れることにしたのだった。
「やっぱり蛇口の水は苦手にゃ…でも、ボウルの水は最高にゃ!」
そう思いながら、ミケは午後の日差しを浴びて、再びお昼寝の続きを楽しむことにした。
温かい日差しとお腹の中の冷たい水がちょうど良いバランスで、ミケは幸せな気分で目を閉じた。
「ミャー、今日もいい一日だったにゃあ…」
そんな風にして、子猫のミケの水飲み騒動は終わり、彼女は再び平穏な日々を過ごすのであった。
※※当ブログは素人の創作ブログです。誤字、脱字や物語の展開に不備があるかもしれませんが、ご理解ください。※※