新紙幣騒動と猫たちの絆 第一話完結編
7月の初め、猫の国で新しい紙幣が発行された。
鮮やかなデザインと柔らかな質感の新紙幣は、猫たちには魅力的に見えた。
しかし、問題がすぐに浮上した。
特に小さな商店やラーメン屋の猫たちにとって、この新しい紙幣に対応するための両替機や券売機を買い替える費用が大きな負担だったのだ。
「また新しい紙幣が出たニャンか?」
商店の店主である三毛猫のミケが呟いた。
「あの券売機、まだまだ使えると思ってたニャンに…。買い替え費用は300万ニャンもするんだって!」
「それは大変ニャンね。そんなお金、どうやって工面するニャン?」
隣のラーメン屋の主人、黒猫のクロが心配そうに尋ねた。
「売上もそんなに多くないのに、突然の出費はきついニャン。」
ミケとクロは他の商店街の猫たちとも相談した。
皆同じ問題を抱えており、新しい紙幣に対応するための準備が間に合わないことを嘆いていた。
「政府は何もしてくれないニャンか?」
八百屋の店主である白猫のシロが声を上げた。
「私たち小さな店が潰れてしまったら、どうするつもりニャン?」
「政府は支援策を検討中だと言っているニャンけど、間に合わないニャン。7月にはもう始まるニャンから…」
クロは肩を落とした。
そんな中、商店街の一角に住む老猫のタマが口を開いた。
「みんな、ちょっと聞いてニャン。昔、紙幣が変わった時も同じようなことがあったニャン。私たちが協力し合えば、なんとか乗り越えられるニャン。」
「どうやって協力するニャン?」
ミケが尋ねた。
タマは微笑んで答えた。
「まずは情報を共有するニャン。どこで安く券売機を手に入れられるか、どの業者が信頼できるかを共有するニャン。そして、必要な猫たちにお金を貸し合うニャン。」
「お金を貸し合うニャンか…それはリスクがあるニャンけど、みんなで協力すればなんとかなるかもニャンね」
シロが同意した。
商店街の猫たちは話し合いを重ね、タマの提案に基づいて行動を始めた。
安い券売機の情報を集め、信用できる業者と交渉し、そしてお互いに資金を貸し合った。
ミケの店には、クロの店から少しの資金援助があり、クロの店にはシロが無償で労働力を提供した。
結果、商店街の猫たちは協力して新しい紙幣への対応を乗り切ることができた。
ミケもクロも、そして他の猫たちも、再び笑顔を取り戻した。
「やっぱり、みんなで協力すれば、どんな問題も乗り越えられるニャンね!」
ミケは嬉しそうに言った。
「本当にそうニャンね。これからも困ったときはお互いに助け合っていこうニャン」
クロも頷いた。
こうして、猫たちは新しい紙幣への対応を無事に終え、商店街は再び活気を取り戻したのだった。
次回、第一話完結編 「河童のひょうきんな友情」お楽しみに!