暁の空来

時間が許す限り楽しい事が書ければそれで良いかと?

鏡の中のライバル!?子猫の大騒動

鏡の中のライバル!?子猫の大騒動 第一話完結編

 

ある晴れた日の午後、子猫のタマは、お母さん猫が眠っている間に家の中を探検することにした。

タマは好奇心旺盛で、何にでも興味を持つ冒険心たっぷりの子猫だった。

「今日はどこに行くニャンか?」

タマはワクワクしながらリビングルームに駆け込んだ。


そこには大きな鏡があり、タマは今まで見たことのない場所だった。

「ん?あれは何ニャン?」

タマは鏡の前で立ち止まり、そこに映る自分の姿を見つめた。

タマはすぐにその映っている子猫が自分だとは気づかず、他の子猫だと思い込んでしまった。


毛並みがフワフワで、大きな目がキラキラしたその相手は、なんと自分とそっくりな子猫でした。

タマはその子猫をじっと見つめると、ついに戦いを挑むことにしました。

「誰ニャン!ここは僕の家ニャン!」

タマは鏡の中の子猫に向かって威嚇し、尻尾をふわふわと膨らませた。


「にゃんだ、にゃんだ!そっちのフワフワな子猫、ぼくに挑戦したいっていうのかにゃ?」

鏡の中の子猫も同じように威嚇しているように見える。

「こいつ、強そうニャン。でも、僕は負けないニャン!」

タマは決心し、鏡の中の「敵」に向かって飛び掛かった。


バン!タマは鏡に頭をぶつけてしまい、

「イタタタタ…」

少し後ずさりした。

「なんて硬いヤツニャン!」

再び鏡の中の子猫を睨みつけた。


タマは背中の毛を逆立て、しっぽを膨らませて威嚇しました。

すると、鏡の中の子猫も同じように背中の毛を逆立て、しっぽを膨らませているではありませんか。

「にゃんてこった、こいつもなかなかやるにゃ!でも、負けないにゃ!」


「もう一度勝負ニャン!」

タマは意気込んで、今度はゆっくりと鏡に近づいた。

鏡の中の子猫も同じように近づいてくる。

「なんでこいつも近づいてくるニャン?」

タマは首をかしげた。


タマは力強く前足を振り上げ、鏡の子猫に向かってパンチを繰り出しました。

すると、鏡の子猫も全く同じタイミングでパンチを繰り出し、二匹の前足がピタリと鏡越しにぶつかりました。

「むむむ、にゃんだこいつ!なかなかの強敵にゃ!」


タマは次に、鏡の子猫に向かって素早くジャンプしました。

しかし、鏡の子猫も同じようにジャンプして、二匹の鼻がぴったりと鏡にぶつかりました。

「イタッ!にゃんだこいつ、やるにゃ!」


タマは少し後ろに下がり、次の作戦を練り始めました。

鏡の中の子猫も同じように後ろに下がり、真剣な顔つきでタマを見つめています。

「よし、次はあの子猫がびっくりするような技を見せてやるにゃ!」


お母さん猫が目を覚まし、リビングルームに入ってくると、タマが鏡の前で必死に戦っている姿を見つけて、微笑んだ。

「タマちゃん、あれはただの鏡にゃんよ。タマちゃんの姿が映っているだけにゃん。」

しかし、タマはお母さんの言葉に気づかず、鏡の中の子猫に向かって挑発を続けた。

「もっと近づいてやるニャン!」

タマはじりじりと鏡に近づき、鼻先が鏡に触れるほどになった。


「ん?鼻がぶつかるニャン!」

タマは驚き、後ろに飛び退いた。

「こいつ、鏡の中に隠れているニャンね!」

鏡の裏側に回り込んでみた。

しかし、そこには何もなく、タマは首をかしげて戻ってきた。


タマは少し混乱しましたが、すぐに気を取り直して次の一手を考えました。

今度はお腹を見せることで相手を油断させようと、仰向けになってゴロゴロと転がりました。

しかし、鏡の子猫も同じように仰向けになってゴロゴロと転がりました。

「うにゃぁぁ!こいつ、なんてしつこいにゃ!」


タマは次第に疲れてきましたが、負けるわけにはいきません。

鏡の子猫に向かって再び立ち上がり、今度は全力で鏡に突進しました。

「にゃー!!これで最後にゃ!」

しかし、鏡の子猫も同じように全力で突進してきました。

二匹の頭がゴンッと鏡にぶつかり、タマは驚いて後ろに倒れ込みました。


「いたたたた…にゃんて強いんだ、この子猫…」

「ま、まさか…こいつ、透明にゃんか?」

タマはますます興奮して、鏡の前で威嚇を繰り返した。


お母さん猫はその様子を見て笑い、

「タマちゃん、あれは君自身にゃん。鏡の中には誰もいないにゃんよ。」

タマは一瞬立ち止まり、鏡の中の子猫を見つめた。

「ほんとに僕自身ニャンか?」

タマは恐る恐る前足を上げ、鏡の中の子猫も同じように前足を上げた。


「やっぱり僕自身ニャン!」

タマはようやく気づき、大笑いした。

「なんだ、敵じゃなかったニャンね!」

お母さん猫は優しくタマの頭を撫で、

「そうよ、タマちゃん。鏡は自分を映すだけにゃん。だから、そんなに戦わなくてもいいにゃんよ。」


タマは鏡の前でくるくると回り、

「なるほど、これが鏡ニャンね!」

と大喜びした。

「これからは鏡を使って、もっといろんなことを見てみるニャン!」


その日以来、タマは鏡の前で遊ぶのが大好きになった。

鏡に映る自分の姿を見て、いろんなポーズを取ったり、鏡の前でおしゃれな動きを試してみたりした。

「鏡の中の僕も、なかなかイケてるニャン!」

タマは毎日、鏡の前で楽しそうに遊ぶようになった。


そして、もう二度と鏡の中の自分と戦うことはなかった。

こうして、タマの鏡の冒険は笑いとともに幕を閉じ、タマは鏡の前で新しい自分を発見し続けるのであった。

ニャンニャン

次回、第一話完結編 「新紙幣騒動と猫たちの絆」お楽しみに!