暁の空来

時間が許す限り楽しい事が書ければそれで良いかと?

古き良き友

古き良き友 第一話完結編

 

13年目の真実

キツネのケンさんは13年間愛用した車、通称「古き良き友」を見つめていた。

エンジン音はまだ力強く、車体は小さな傷を誇らしげに見せている。

しかし、新たな税金制度が影を落としていた。

「13年経つと税金が倍になるって、本当か?」

キツネのケンさんは呟いた。

近所の自動車整備工、ネコのニャン太さんが答える。

「そうなんですよ。このままじゃ、古い車は贅沢品扱いです。」

キツネのケンさんは苦笑い。

「これじゃ、新しい車を買うしかないのか…。」


新車か古車か

次の日、キツネのケンさんはディーラーに足を運んだ。

最新モデルの車が並び、目移りするばかりだ。

しかし、価格を見て冷静さを取り戻した。

「これはちょっと手が届かないな…。」

キツネさんは苦笑いしながら言った。

ディーラーの店員が声をかける。

「古い車を下取りに出せば、少しは安くなりますよ。」

キツネのケンさんは「古き良き友」のことを思い出し、決心が揺らいだ。

「本当に手放していいのか…?」


友との別れ

キツネのケンさんは悩んだ末に、結局「古き良き友」を手放す決意をした。

書類にサインしながら、心に痛みが走る。

「長い間お世話になったな。」

キツネさんは涙ぐみながら車に別れを告げた。

ネコのニャン太さんが現れ、慰めの言葉をかける。

「大丈夫ですよ、キツネさん。新しい車もきっと良い友になります。」

しかし、キツネのケンさんの心は晴れなかった。

新車の鍵を手にしても、何か大切なものを失った気がした。


新たな出発

新しい車で初めてのドライブに出たキツネのケンさん。

最新の機能に感動しつつも、どこか物足りなさを感じた。

「便利だけど、何か違うな…。」

キツネのケンさんは呟いた。

古い車の思い出が頭をよぎる。

「古き良き友」との思い出が蘇り、新車の魅力も薄れていく。

「やっぱり、馴染むには時間がかかるな。」


未来への一歩

数ヶ月後、キツネのケンさんは新しい車にようやく慣れてきた。

しかし、税金の話題になると、ふと昔を思い出す。

「また13年経ったら、同じことが起こるのか…。」

キツネのケンさんは苦笑いした。

ネコのニャン太さんが笑いながら言う。

「その時はまた、新しい友を見つければいいんですよ。」

キツネのケンさんは未来に希望を持ち、新しい車と共に新たな道を進む決意をした。

「次の13年も、よろしくな。」

次回、第一話完結編 「鏡の中のライバル!?子猫の大騒動」お楽しみに!