第一話:父親猫が残したデコレーション 第三章
第三章
アイリンがお父さん猫のデコレーションパーツを見ながら考え込んでいると、
工場の入口から軽快な足音が聞こえてきた。
振り返ると、妹のユカリンがしっぽをフリながら仙台から帰ってきたところだった。
「ただいまニャン、アイリン姉ちゃん!」
ユカリンは元気いっぱいに挨拶した。
「ユカリン、おかえりニャン!」
アイリンは笑顔で迎えた。
ユカリンはお父さん猫が使っていた「フロントデッキ舟形仕様」を手に取り、興味深そうに眺めた。
「これ、懐かしいね。お父さんが大事にしてたものだよね。」
「そうだニャン。今日はこれをアイリン丸に取り付けようと思ってるニャン。」
「でも、一人じゃ大変かもだニャン…。」
「じゃあ、私が手伝うよ。整備士の免許も持ってるし、二人でやれば早いニャン!」
ユカリンは意欲的に提案した。
「ありがとう、ユカリン。助かるニャン。」
アイリンは感謝の気持ちを込めて言った。
二人は早速作業に取り掛かった。
ユカリンは手際よく「フロントデッキ舟形仕様」の取り付け準備を進め、
アイリンは同僚が見せてくれた星形ネオマーカーをサイドバンパーに配線していった。
両側に20個の星形ネオマーカーを装着するのは手間がかかったが、
二人の連携でスムーズに進んだ。
「これでどうだニャン?」
アイリンが完成したサイドバンパーを見ながら言った。
「バッチリだよ、アイリン姉ちゃん!父さんもきっと喜んでるよ。」
ユカリンは微笑んだ。
二人はさらにフロントデッキの取り付けを進め、アイリン丸が一層輝くデコレーションとなった。
アイリンはお父さん猫の思い出を胸に、ユカリンと共に作業を終えたことに満足感を覚えた。
その後、二人はマメ吉社長との打ち合わせのために事務所へ向かった。
社長は新しいデコレーションを見て、驚きと喜びを隠せなかった。
「これは素晴らしいニャン!君たち二人でこんなに素敵に仕上げるとは思わなかったよ。」
「アイリンちゃん、ユカリンちゃん、凄くかっこいいアイリン丸に仕上がったね。」
「仕上がったところで、アイリンちゃんとユカリンちゃん、手が空いたらちょっと来てくれニャン」
とマメ吉社長が呼びかけた。
「はい、社長ニャン!」
二人は元気よく返事をし、社長の元へ駆け寄った。
「次の荷積みの打ち合わせをしよう。地元の漁港まで行くことになるニャン。」
マメ吉社長は地図を広げ、ルートを説明した。
「了解ですニャン!すぐに準備しますニャン。」
アイリンは頷き、早速準備に取り掛かった。
新しい装飾を施したアイリン丸は、さらに輝きを増し、次の旅に向けて準備が整った。
ユカリンは資材部に所属しているため、アイリンと一緒に運行することは少ない。
しかし、今日は特別にアイリンを手伝ってくれたことに感謝し、姉妹の絆が一層深まった。
「アイリン姉ちゃん、頑張ってね!私も次の仕事があるから、そろそろ行くニャンネ。」
ユカリンは元気よく言って、再び仙台への道を進んだ。
「ありがとう、ユカリン。お互いに頑張るニャン!」
アイリンは手を振り、ユカリンを見送った。
アイリンは気持ちを新たにし、アイリン丸のエンジンをかけた。
彼女の心には、お父さん猫の思い出と、妹との絆が強く刻まれていた。
次の目的地である地元の漁港へと向かうため、アイリンはアクセルを踏み込んだ。
※※当ブログは素人の創作ブログです。誤字、脱字や物語の展開に不備があるかもしれませんが、ご理解ください。※※
次回 第一話:父親猫が残したデコレーション 第四章 お楽しみに!