暁の空来

時間が許す限り楽しい事が書ければそれで良いかと?

秋風に揺れる香り

足元に積もり始めた枯れ葉を踏みしめながら歩く遊歩道。秋風が軽やかに木々を揺らし、乾いた葉が舞い上がっては地に降り、秋の絨毯ができる。ふと耳に届く焼き芋屋の声。遠くから漂ってくる甘く香ばしい匂いに、心が温かく包まれる。

季節の移ろいを感じるその香りと声に、夏の残り香はもうなく、ただただ静かに訪れる秋の夕暮れ。空気が冷え込み、日が短くなり始めたことに気づくと、ああ、今年もまた、この時期が来たのだと、少し寂しさとともにしみじみと感じる。焼き芋の香りが、ふとした思い出とともに、また足早に消えていく。