内陸からの道を戻る途中、目に飛び込んできた赤い日産グロリア430。その角ばったデザインが、遠い昔の自分を思い起こさせた。あの頃、同じ車に乗り、ハンドルを握りながら自由な風を感じていた。時代は変わったが、そのデザインだけは色褪せることなく、今もなお輝いている。
若い女の子がその車を運転していた姿を見て、少しばかり驚きとともに懐かしさが込み上げた。自分も昔、あの車に誇りを持ち、道を駆け抜けていたのだ。しかし、今は税金の重さがそれを阻む。維持費を考えると、気軽に手を出すことは難しいが、心のどこかであのグロリアにもう一度乗りたいという気持ちが消えることはない。
角ばったデザイン、力強い存在感。今どきの車にはないその魅力に、ふと「もしも」という想いが胸をよぎる。時代が変わっても、あの車に乗っていた自分を忘れない。赤いボディは、その思い出を鮮やかに蘇らせた。