第一話:父親猫が残したデコレーション 第五章
第五章
ユカリンは仙台へ向かう準備を終え、アイリンと別れると、ユカ丸に乗り込んで出発した。
「気をつけてね、ユカリン。無事に行ってらっしゃいニャン!」
アイリンは手を振りながら見送った。
アイリンは自宅に戻り、長い旅路の準備を始めた。
八戸で鮮魚を下ろし、その後別の鮮魚を積み込んで北海道の根室まで運ぶため、
しっかりと準備を整える必要があった。
衣類や食料、運転に必要な道具を揃え、デコトラ「アイリン丸」をチェックした。
準備が整ったアイリンは地元の漁港へ向かった。
港に到着すると、漁師たちが活気に満ちた声を上げながら作業しているのが見えた。
「おはようございますニャン!」
アイリンは元気よく挨拶した。
「おお、アイリンちゃんか。今日も元気そうだね。」
漁師の一人が笑顔で答えた。
「最近、物価高で大変だろう?」
「運送屋さんも同じだと思うけど、燃料が高騰すると生活が厳しくなるよな。」
アイリンは頷いた。
「そうですね、燃料費が上がると本当に困りますニャン。」
「トリガー条項の話、どうなったんでしょうね?」
「本当にそうだよ。政府も早く対策を考えて欲しいものだ。」
別の漁師が言った。
「まあ、愚痴ばかり言っても仕方ない。さあ、仕事に戻ろうか。」
漁港では、地元の漁師たちが彼女たちを歓迎し、高級魚を丁寧に積み込んでくれた。
「安全運転で頼むニャン。」
漁師たちの言葉に、アイリンは元気よく頷いた。
アイリンは漁師たちと一緒に、八戸に下ろす鮮魚を積み込む作業を始めた。
彼女は手際よく魚をトラックに運び入れ、しっかりと固定した。
「これで準備完了ニャン!」
アイリンは満足そうに頷いた。
漁師たちも満足そうに微笑んだ。
「これで安心だ。気をつけて運んでくれよ、アイリンちゃん。」
「もちろんニャン!皆さんも体に気をつけてくださいね。」
アイリンはそう言って、トラックのエンジンをかけた。
アイリン丸は地元の漁港を後にし、次の目的地、八戸へと向かった。
途中のスタンドで二つある補助タンクにも燃料を積み込みながら長い旅路の始まりに
アイリンは心を引き締めた。
「頑張るニャン!」
彼女は自分にそう言い聞かせ、アイリン丸のハンドルをしっかりと握りしめた。
次回 第二話 「アイリン 思いがけない出会い!」 序章編 お楽しみに!!